模型ジェットエンジンは、
そのダイヤ径の大きさから
毎分約20万回転という超高速回転します。
ジェットエンジンの構造から、
自動車用のターボチャージャを
利用したタービンエンジンの製作に向けて・・・。
ドイツ、Lambert製のマイクロタービンエンジン「Kolibri」です。
市販の実用タービンエンジンとしては多分、世界最小クラスと思います。
ダイヤ径55mm、インティーク先端から、排気コーン最後部まで111mm
手のひらにすっぽり収まるサイズです。
コーヒー缶(52φ×104mm)より僅かに大きいくらい・・・。
こんな小さな燃焼室で完全燃焼させて、うまく排気できるのか・・・?
ベンチテストを行いました。
小さくても精悍です。
max243,000rpm時のタービ周速度は1500km/hにも及びます。
もちろん音速は超えています・・・。
始動用のモーターは付属していませんので、ブロアーで
強制送気してガスで点火させます。
結構スムースな点火で、アイドルの10万rpm付近で安定します。
まさしく本物のジェット戦闘機のタキシングの轟音・・・
ジェットエンジン用のテストベンチです。
タービンはほとんど振動がないため
周辺の計装品も両面テープで固定しました。
右はコーヒー缶との比較です。
ほぼ同じ・・・・。
[タービンエンジンT-32スペック]
最大推力 | 1.5kgf at243,000rpm |
アイドル | 0.2kgf 100,000rpm |
ダイヤ径 | 55mm |
全長 | 111mm |
質量 | 200g |
排気温度 | 680℃ |
燃料 | 灯油, 5%Turbine Oil |
始動 | LPG点火:ブロアによる強制送気方式 |
燃焼室後部からベーパライザパイプに細い燃料パイプが
挿入され、2箇所に点火用ガスが引き込まれます。
テスト運転後の燃焼室の焼けは全周に渡って均一で
特に異常高温にさらされた痕はありません。
エアー導入による燃焼室の全面冷却がバランスよく
いっているものと思われます。
適当に製作したジェットエンジンも燃焼させることは
あまり難しくありませんが、内部で完全燃焼させて、
かつ、排気温度をタービンの耐熱を考慮して700℃以下
に抑えることが非常に困難です。
また燃焼室全面の冷却を考慮したエアーの流れが、
エンジンの耐久性に大きく関わってきます。
その点では、かなり完成度の高いエンジン・・でしょう?
タービンオイルが混合された燃料は一部分岐され
ベアリングの潤滑・冷却用に供給されます。
圧損を取って供給量を絞るために極細のパイプ(↑)が
設けられています。
(左)吸気コンプレッサーインペラです。
20万rpmでは燃焼室内圧を2kg/cm2以上に、
加圧できると思われます。
(右)排気タービンです。
翼は付根から僅かにねじれる様に立ち上がり、
上部先端の方が広くなります。
内部の固定翼からの排気を効率よく受け止めるためです。
毎分24万回転で廻っている時、ブレードにかかる引っ張り応力を
計算してみたら、何と2dを超えます・・・。
しかも700℃近い高温で・・・(--;)
実機タービンの動翼は、このような一体構造ではありません。
ブレードは1枚1枚ハウジングに挿入され、ガタガタの状態です。
回転による遠心力で固定されます。
従って、回転開始時には、カタカタと音がします。
ブレードの熱膨張による逃がしが設けられています。
計装品も超小型でシンプルです。
軽量化のためか、ガス遮断弁は省略され、逆止弁で内圧
の漏れを防止しています。
もちろんスタータモータも装備されていません。
飛行中に不要な装備は、あえて省略した設計と思います。
その分、半自動のスタートとなりますが賛同できます。
海外で試作されたタービンジェットエンジンの中にはダイヤ径23mmの
超小型のものもあるようです。もう、昔のマブチモータサイズ・・・。
(左):T32タービンエンジンのセットアセンブリーです。
黒い大きなヘアドライヤみたいなのが・・始動用ブロアーです。
始動に必要な一通りのパーツは揃っていますが、
ガスボンベ、12Vバッテリー、燃料、オイル、・・
あとは送受信機関係が必要です。
(右):バラバラになったエンジン本体の主要パーツです。
細かい、ネジやベアリングなどありますが・・
ジェットエンジンと言っても、わずかこれだけの部品です。
シンプルな構造で、最も合理的なパワーユニットです。
いや、ロケットエンジンの方がもっと単純・・・?
イギリス製だったと思います。あのロールスロイスのある・・・。
毎分15万回転で廻ります。推力約6kgf・・・
初めて模型ジェットエンジンをテストした時、あのキィ〜ン、ゴォーッ!の
音に魅了しました。(一般の人には雑音でしょうが・・)
燃料は、みるみる減っていきます。1g程の灯油は5分と持ちません。
排気コーンがきれいなブルーに焼け、後方には陽炎が・・・
まさしく本物のジェット戦闘機の離陸の轟音・・
模型ジェットエンジンP-14のタービンブレードは、
車のターボチャージャと同じ構造です。
コンプレッサーは、アルミ合金、タービンブレードは、
インコネルと思われます。
燃焼室はステンレス製ですが、たぶん耐熱SUS-310Sでは・・?
燃焼室内部には、6本のベーパライザーバイプが溶接され、
燃料はここに、引き込まれ、噴射と同時にベーパーとなります。
最も高温になるところです。
タービンケーシングは、結構分厚く出来ています。
万一、ブレードが破断した場合、ケーシングを突き破ることなく、
後方に排出するためか・・・?
ディフューザは、アルミ削り出しで、吸入エアーの速度を圧力に変換し、
燃焼室に送り込みます。
タービン軸の冷却は、フレッシュエアーで行い、
軸受け部のセラミックベアリングの潤滑は、潤滑油が混合された燃料を、
一部リークさせて行っています。
(左)昔のフェアレディZに使われていたタービンです。ブレードはセラミック製で、
驚くばかりに軽量です。レスポンスを追求したのでしょうか?
(右)軽四用のタービンです。最も小さなタービンは三菱重工製TDシリーズ?
実用模型ジェットエンジンとしては、世界最小?と聞きました。
(これは数年前でした・・・今はドイツ製T-32タービンはダイヤ僅か径55mm)
SIM-700のダイヤ径75mmとスプレー缶より少し大きいくらいです。
最高回転数190,000rpm、アイドリング50,000rpm・・・
信じられないくらいの超高速回転です。
吸入部のコンプレッサーインペラの外径から周速度を計算したら、
約300m/sec・・・音速に近い速度です。
多分、最高回転数は、この音速の限界で律則されると思われます?
アイドルから8万回転くらいまでは、あのキィーン!という金属音で・・
8万回転を超えると、高周波の金属音は消え、高速で噴出する・・
ゴォ〜!シュー!轟音(表現が難しい・・)
ホームセンターで適当な架台を買って、テストベンチを製作しました。
結構重いのですが、P-14をテストした時、フルスロットルで台が浮き上がりました。
テストランでは、必ずウェイトを乗せます。
制御はマイコンですので、送信機のスロットル操作で、簡単にスタートしてくれます。
起動は、LPGを使います。レギュレータも装備していますので、圧力調整は容易です。
燃料は灯油に5%の合成オイルを添加して使用します。
排気温度は、約500℃程度、過剰空気で低く抑えている・・?
排気コーンに設けられた熱電対は、フレームアウトの監視と、
高温インターロック用センサー・・です。
燃焼室のベーパライザー&タービンブレード、排気コーンの材質は、
インコネル・・もう、説明は無用でしょう!
手に持ってるのは、ジェットエンジンの部品ではありません。
軽四用のIHI製のターボチャージャの部品です。
排気タービンで、吸気コンプレッサーを駆動する・・。
この中央部に燃焼室を設ければ、列記としたジェットエンジンになるはずです。
この大きさから、想定されるエンジンダイヤ径は、約53mm。
まさに、コーヒー缶サイズの、世界極小サイズの模型ジェットエンジンができるはず・・・・。
最高回転数は、毎分20万回転を超えるでしょう。
ブレードは破断しないか?ケーシングを突き破らないか?
軸受けはセラミックベアリングでもつのか?
かなり、危険を伴うことに・・・。