世界最小?0.096ccマイクロエンジンの切削加工偏


僅か0.096tの模型エンジン

排気量0.096ccのマイクログローエンジンの加工編です
ボア径5.01mm、ストローク4.90mmのグローエンジンです。

マイクロエンジンの製作とテストラン は、こちらから…。 

006エンジン搭載機の製作と飛行記事(PDF)はこちらから→ pdfを開く



【マイクロエンジンの加工偏】  (写真をクリックすると、大きく表示できます)
クランクケースのNC加工

【クランクケースのNC加工】

クランクケースの外周をNCで切削して行きます。
アルミ2017の切削エンドミルはφ3.0のロングタイプです。
出来るだけ切削くずを巻き込まないように、
冷却エアーを送っています。

PCでのNC切削画像

【NC加工のPC画像】

NCのプログラムはパソコンでNC言語で作成しました。
プログラムミスは危険を伴いますのでその軌道を画像で確認できます
XYZの3次元加工が出来ますのでモデリングは容易ですが、
切削には結構時間がかかります。


クランクケースの内面加工

【クランクケースの内面加工】

小さな穴繰りバイトがあれば簡単ですが、入らないので研削しました。
プロクソンのリューターのベアリングはガタがあるので
軸受けはソリッドに改造しています。
小径のアンギュラベアリングがあればいいのですが、
一般には販売されていないようです?
給油しながら使いますが、長時間は使えません。
高速回転の小さなポストグラインダーがあれば・・・。


削り出しのクランクケース

【削り出しクランクケース】

クランクケースの形が出来てきました。
シリンダー取り付け部の加工はNCフライスで行っています。
シリンダー取り付けネジはユニファイの特殊な径ですので
SK材で専用タップを製作し焼き入れして切ります。



クランクシャフトのNC加工

【クランクシャフトNC加工】

続いてクランクシャフトの加工です。
偏芯したクランクピンはNCフライスで切削しました。
旋盤加工の場合は、偏芯冶具の作成が必要なのと、チャックが緩むと
バイトが吹っ飛んで危ないので、もっぱらNCです。
一緒にバランスウェイトも削り出せます。


クランクシャフトと豆コンロッド

【クランクシャフトと豆コンロッド】

コンロッドはピストン側は1.0mmの球状で、小さな刃をつけたパイプを押し当てて
球面を切削して行きます。
結構おもしろいように球状が削れます。
ピストンとの連結は、専用治具でカシメます。


クランクシャフト&ケース

【クランクシャフト&ケース】

クランクケースにシャフトとコンロッドを仮セットして当たりを見ます。
コンロッドの通るところはケース内面をRカットしています。
ケースとのクリアランスは0.2〜0.3mm程度です。


シリンダーのホーニング

【ホーニング加工の終わったシリンダー】

ホーニングが完了したシリンダー内部です。
まだ給排気のポートを切削してバリ取り研磨します。
研磨後でピストン外形より1/100mm程度大きくしました。
ピストンとのクリアランスは5ミクロンほどとなります。
クリアランス10ミクロンでは圧縮漏れでうまく回りません。


ピストンの旋盤加工

【ピストンの外周加工】

ピストン外周は旋盤で切削し、研磨します。
ピストン径はφ5.00mm。
シリンダーとピストン径はマイクロメータで計測して1/1000をほぼ合わせました。
(もちろん計測バラつきがあります)


ピストンの内面加工

【ピストンの内面加工】

ピストン内面は小さ過ぎて旋盤では加工できないため、
NCで切削しました。エンドミルはφ1.0です。
コンロッドのカシメ部はボールエンドミルで球状としています。
カシメの手加減が結構難しい!



完成したピストンAssy

【完成したピストンAssy】

今回製作のピストンは手前の一番小さいものです。
中央はcox01エンジンのピストン。一番大きいのは02エンジンのピストンです。
今まで小さかったcoxがバカに大きく見えてきます。
cox製は鉄製ですが、今回はアルミ2017(ジュラルミン)で作りました。
自動車のピストンは熱膨張の小さいシリコン系のアルミを使っているようです。


キャブレターボディの加工

【キャブレターボディの加工】

フライス加工と穴あけ後に丸部を旋盤加工しました。
小さいのでバイト交換しながら端面を揃えていきます。
大きい穴は、スロットル調整のドラムが入ります。
小さい穴は、燃料のスプレーバー用です。
これも材質はジュラルミンです。


切削完了のキャブボディ

【切削完了のキャブボディ】

ほぼ完了のキャブレターのボーデー部です。
簡単そうなな形状で結構複雑です。
今回はスロットルをコントロールできるタイプとしました。
と言っても、吸入エアーを絞るだけです。
グローは燃焼範囲が非常に大きいのでこれで十分制御できます。
ガソリンでは無理と思います。


完成したスプレーノズル

【スプレーノズル】

燃料のスプレーノズルです。
ネジはM2、内部にはニードルが通るφ1.0oの深穴があいています。
小径深穴加工は結構難しいです。径1.0深さ10数ミリあります。
高速精密ボール盤が威力を発揮してくれました。



ノズル穴加工の0.3mmドリル

【ノズル穴加工の0.3mmドリル】

スプレーノズルの燃料が噴出す穴加工に使った極細のドリルです。
超硬ですので砲金には難なく明きます。
オークションで入手したものです。




ツインタイプのクランクケース&キャブ

【ツインタイプのクランクケース&キャブ】

水平対向2気筒用のクランクケースです。
キャブも取り付けはケースにネジ止めしました。
こんな小さな間にシリンダーが2個付きます。


クランクケース&キャブ

【シングルタイプのクランクケース&キャブ】

こちらは単気筒用のクランクケースです。
一人前にボールベアリングで片側のみ受けています。・・・(^^)
キャブのスロットル調整のネジはM1でスプリングは緩み防止です。


バックプレートのNC加工

【バックプレートのNC加工】

エンジン後部のプレートカバーは旋盤加工後にNCで切削しました。
エンジンの取り付けマウントを兼ねています。



パックプレートのNC画像

【パックプレートのNC画像】

バックプレートのNC画面です。
XYの2次元ですから比較的簡単です。
プログラムはCADからダウンロードしていないので久しぶりに
電卓の三角関数をフルに使いました。



マフラーの製作

【豆マフラーの製作】

おまけで作った専用マフラーです。
マフラーを付けると排気抵抗が増えてパワーダウンします。
苦労して作りましたが、ほとんど飾り程度になりました。


0.096t豆エンジン完成

【0.096t豆エンジン完成】

シングルタイプは7台ほど製作しました。
いずれも20000rpmほどで回りますが、あまりパワーはありません。
プロペラはcox01用を2.5インチにカットして
ピッチも1インチ程度に減らしています。
プラグもcox01のものを切削加工して圧縮比を調整しています。



グロープラグの無いディーゼルエンジンなら
もっと小さい物も出来ると思います。
ボア径3.0mmのディーゼル模型エンジンもあるようです。
ただ、プロペラも作らないとこのサイズにあったペラは
市販されていません。
今回は切削加工の鍛錬みたいなもので、
実用性を考えるとやっぱり飾りの領域
から出られないエンジンでしょうか?
小さくてもエンジンは仕事が出来なければ・・・。


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